豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
丘を登ったところに、ホテルはあった。決して大きなホテルではないが、高級な隠れ家的リゾートという感じ。
ボーイに車の鍵を渡すと、孝志は光恵の背中にさりげなく手を置く。
なんてスマートなエスコート。
敷地の中に、独立したコテージがたった三棟。石畳を歩きながら、蝉の声を聴き、真緑の木々を眺め、真っ赤なハイビスカスの香りを楽しむ。夕暮れが近づく太陽が、オレンジ色に輝いていた。
部屋に入ると、光恵は思わず歓声を上げる。
一面ガラス張りの、広い窓。そこからは、茜色にそまりつつある海。白い雲がゆっくりと流れている。
「ごゆっくりどうぞ」
ボーイがすぐに部屋を後にする。
光恵がガラス戸を開けると、そこにはプライベートプール。視線は一切感じない。海と、空と、緑の木々があるだけ。耳を澄ますと、波音がかすかに聞こえた。
「すてき」
光恵はうっとりと景色を眺めた。
「喜んでくれて、うれしいよ」
孝志が光恵を背中から抱きしめる。
心臓が暴走寸前。
軽くパニックに近い。
孝志が光恵の耳に軽くキスをすると、電気が流れるみたいにびくっとした。
「汗をかいたから、シャワーを浴びて来たら?」
孝志がささやくように言う。
「あっ、あの、お先にどうぞ」
光恵はあわてふためいて、孝志に言う。
「そう? じゃあ、先にさっぱりしてくるね」
孝志はそういうと、光恵から離れる。それからバスルームに入って行った。