豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
「ミツ、部屋入れてよ」
デブはそう言うと、身体に似合わず素早い動きで、光恵の脇をすり抜けて部屋に入り込んできた。
「ちょ、待って」
光恵は信じられない気持ちで、デブのTシャツの裾を掴んで引き止めた。
「暑いから、部屋に入れてよ」
孝志はそう言うと帽子を脱ぐ。
「ミツの部屋きれいだね、あ、俺のドラマ見てる?」
孝志がうれしそうな声を出した。
「おい!」
光恵は思わず大きな声を出した。
「何?」
「あんた……誰? っていうか、頭にアンコつまってんの?」
「ミツ、何いってんの。変なの」
「変なのは、お前だ! なんで、そんなふくらんでんの?」
光恵はテレビの中とは似ても似つかない、変わり果てた姿の孝志に驚きを隠せない。っていうか、別人だよね?
「えへへ、ちょっとだけ太っちゃった」
孝志は頭をかきながら、テレビの前に座り込んだ。
「ちょっとどころじゃないよ! 小デブ域からも出そうな勢いよ! あの腹筋はどこ行ったの?」
「まだあるよぉー、強ーく押せば、固いし」
そういって孝志は自分のお腹を指で押した。
ブニーンと、弾力のあるお肉に、指が埋まる。
光恵は唖然とした。