13年目のやさしい願い


それまで、オレ、病院には一人で来たことがなかったから、動揺したお袋も、最初はここを思いつかなかったらしい。

オレを見つけた看護師さんも、念のためにって言われてたらしく、オレを見て、かなり驚いた顔してた。



「とにかくここで待ってなさい」



って言う顔がかなり緊張してたから、「ヤバイ! これは相当叱られるぞ」ってドキドキしてると、しばらくして、お袋が病室に駆け込んできた。

目に涙を浮かべたお袋に、最初、「何やってんのっ!!」って叱りつけられて、それから力いっぱい抱きしめられた。



「あの後、病院には放課後と休みの日しか行かないって約束させられたんだよな」

「あの時は本当に、おばさまに申し訳ないことしちゃって……」

「や、ハルは悪くないって。まだ調子悪くて、曜日の感覚なんてなかっただろ」

「でも、カナ、制服だったのに……」

「そんな細かいとこ、小2のガキには分かんねーって」



オレが笑い飛ばすように言うと、ハルもクスリと笑った。

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