氷がとけるように。
戻ってきてからも山下君の私ビイキは続いた。
その度に工藤の視線を感じながらも見れなかった。


「山下、そろそろ出ないか?」


腕時計を見て時間を見た山下君。


「そうだな。出るか」


大通りに出てタクシーを待った。
金曜日の12時過ぎ。なかなか捕まらない。


少しフラフラしながら手を挙げていた山下君。
やっと1台のタクシーが停まった。


「木村さん、送ってくから」


山下君が後ろに立っていた私の肩に腕をまわした。


「山下」


工藤が山下君を呼び山下君の腕を取り
私と山下君の間に入って来た。


「山下、お前酔っ払ってる。木村は俺が送ってくから」


酔っていた山下君は工藤にされるままにタクシーに乗った。


「山下、寝るなよ。運転手さんお願いします」


山下君が手をあげて返事したのが見えた。
工藤が私の所まで来てタクシーのドアが閉まり動き出すまで見ていた。







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