氷がとけるように。
「山下君、女子からオス猫までモテモテだね」


「嬉しくないから」


私が元気がないって思ったのかな。
いつも以上に明るく話してくれる山下君。
モヤモヤした気持ちを押し込めて笑顔を見せる。


「黒猫、飼うって珍しいよね」


「元々、捨て猫だったんだって。そう言う理由で捨てられちゃったのかなって思ったらかわいそうになって飼うことにしたんだって言ってた。でも、桃太郎飼いだしてから宝くじ当たったり、温泉旅行当たったりしたんだって。不思議だよね」


「ももちゃんに惚れられてる山下君もいい事あるかもね」


「宝くじ買っちゃおうかな?」


アハハと笑う山下君を見て私も楽しくなる。


何気ない山下君の優しさが嬉しかった。










< 70 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop