氷がとけるように。
「これなんかどうかな?」


ピンク色のリボンが付いたベビー服を隣にいた山下君に見せた。


「それにしようかな。
落ち付かないやこの場所。なんかソワソワするね、初めて来たからかな」


さっきからぎこちない手つきで洋服を触っていた山下君。小さいし柔らかいし可愛いレースが付いてたり。


独身の男性はあまり来る事がないであろう赤ちゃん専門店。私もプレゼントを買いに何回かしか来た事がないから気持ちはわかる。


自分には場違いな気がする事。
山下君の気持ちを察して


「店員さんに可愛くラッピングしてもらおうよ」


プレゼントの候補にあがっていた服をレジに持って行き買い物を終らせる。


3枚のベビー服と1足のベビー靴。山下君が選んだ真っ白のベビー服も入っている。プレゼント用だと告げると予想以上に可愛くラッピングしてくれた。


「お姉さん、喜んでくれるといいね」


「明日、退院してしばらく実家にいるみたいだから明日渡して来る」


可愛い紙袋を持った山下君と売り場を後にした。













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