~天使ロード~
「池治先生、あれ工は?」


私は工がいない寝室の扉を無意識に見つめる。


「あ、佐藤なら帰りましたよ!
何か準備することがあるとかで…
それに明日はお父さんとタイムカプセル探しですし、邪魔者はいらないでしょ」


「邪魔者ってひどい」


「少し大袈裟に言ったまでですよ
ははっ」


「笑いことじゃないし!」


「まぁまぁ、そう興奮なさらず!
今日の夕飯は卵がゆですから、元気出してください!」


「………
池治先生ありがとう
これはさっきのお礼…
私に忠告を出してくれたのに、町散策に行っちゃったから」


「いいんですよ
それより早く熱が下がるといいですね

そろそろ私は夕飯の支度をしてきます
それにしても、その指輪綺麗ですね!少し見せていただけませんか?」


「あれ、夕飯の支度は?
この指輪、工からもらったの!私のお気に入り」


私ははめている指輪を取り、池治先生に手渡すと、その池治先生が私の指輪を持ったまま、走り去ってしまった。



私の指輪がーーー。




鍋に火をつけっぱなしだからって、消してから来てよ。




もー………



それから数分以上が経っても、池治先生は戻ってこなかった。
< 263 / 293 >

この作品をシェア

pagetop