箱の中の苺/S
「あんたバカじゃないの?そんなネットで知り合った女なんてどうせ不細工に決まってんのよ。だからそうやって機械使って男探してんだから。
目覚ましなさいよ。私のどこが気に入らないか言ってよ祐也。……して、
どうしてこんなことで別れなきゃいけないのよっ!」
押さえ付けられる肩に、僅かながらに伝わってくる痛み。
彼女が武器とする艶をのせた唇で、この口が塞がれることも、彼女の愛情だということはよく分かっている。
そして、そのままベッドに沈められてしまえば、温もりに勝てない冷めた僕がいるのもたしか。
でも違うんだ。
こんなことでは埋められない、気になって仕方がない相手を、
僕はネットの中に見つけてしまった。
もう、僕にとってのリアルはそこにしかない。
祐也ではなく、
レイでいられる時間が
今の僕の全てだ。