箱の中の苺/S


「ごめん。帰って」



感情のない僕の言葉に振り返らず、自分で脱いだ服を再び身にまとい、去っていく彼女の背中に同情するのは間違いだと、いつか僕は学んだ。

続けてあげられない優しさなら、最初からしない方がいい。



だから華と出会った時も、僕は優しい言葉を掛けたりはしなかった。

箱の中の苺、華はそんな僕の気持ちを知っている。




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