箱の中の苺/S


星を見ながら会話がしたい。

離れている分、同じ空の下にいることを感じたいから、約束の時間は午前零時に決めていた。



最初に入るのはいつも華の方。

本当は僕の方が、何分も前からそこに座っているんだけど、

ソワソワとこの時間を待っていたのだと思われるのはどこか悔しくて。

毎回遅れて入ることにしていた。




華を好き?

そういう感情はよくわからない。



ただ、静かに華と交流している時間の中に、音を感じる時がある。

耳の奥でこもるように、強く激しいリズムを刻む。



鼓動…
そういう名前だった気もする。




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