極彩色のクオーレ
「な、何考えてんだよバカ野郎!
お前、闘える武器とか力とか何にもないくせに!
ケガするだけだから逃げろっての!」
「で、でも女の子置いて逃げるなんて絶対にやだ!」
「こんな時だけ女扱いするな、バカ!」
力ずくでもどうにかしてケセラを逃がそうかとギベオンは思考を巡らせ始めるが、前方の気配にそれどころではなくなる。
ようやく煙が薄れてきた大きな落とし穴から、土埃をかぶったセイクリッドがゆらりとはい上がってきた。
片手にはボウガンが握られてあり、既に新しい矢が仕込まれている。
「まったく、街中の罠といいこれといい、困った子たちだな」
「へんっ、引っかかる方に問題があるんだよ。
それに、わざと罠を仕込まれてもしょうがないことをしたお前たちが悪いんだから、なっ!」
ギベオンが爆弾を投げつける。
それはセイクリッドの眼前で爆発して端整な顔を包んだが、彼は何ともない足取りで煙の中から出てきた。
ケセラは青ざめながら、ギベオンは舌打ちまじりに驚いて王子を見つめた。
二人の反応を見てセイクリッドがくすりと嗤う。
「僕は王族の人間だ、幼い頃から何度も殺されかけたことがある。
自分の身を守るための術を持っていないわけがないだろう?
この程度の刺激物なんて、蛙の面に水だね」