極彩色のクオーレ
主人の迷いを断ち切るように、ニコが冷静な口調で問いかける。
一旦ケセラたちがいる方を見てからティファニーは前を向いてニコの身体に掴まり直した。
「……なるべく、人が集まるところがいい。
セイクリッドたちがもう動けるようになってるなら、もうあまり時間ないから。
とにかく、少しでもたくさんの人に伝えたいの。
伝えなくちゃいけないの、これ以上私みたいな人が出てしまわないように」
「ちょっと、ストップ、ティファニー」
語調が荒れ始めたティファニーに違和感を抱いたセドナは、彼女の細い手首を握って名を呼んだ。
恐怖による小刻みな肉の震えが手のひらに伝わってくる。
「どうしたんだよ一体、そんなに慌てて。
街の連中に伝えなきゃいけないことってなんだよ?
そんなに伝えないとやべえことなのか?」
セイクリッドに何か吹き込まれただけでお前のことを化け物だと信じている奴らだっているのに。
そう続けかけたが、ティファニーが傷つくと思ったのでやめた。
それに、口にしたら自分の器の小ささを証明してしまうことになると気づいたからだ。
街中がそう思っているとは限らないのに。
だからティファニーは彼らのために動いているのだろう、きっとそこには自分にされた仕打ちの恨みなど含まれていないのだろう。