極彩色のクオーレ
「……さっきセイクリッドに捕まったとき、耳打ちされたのよ。
今、ルースがこんなことになっている本当の原因はね、私のせいじゃなくて」
「すみません、今喋らない方がいいですよ」
話しかけたティファニーをニコは遮ると、手綱を右手だけで持って左手に工具を握った。
セドナは何だよ、と不満をぶつけかけたが、前方を見てその理由を理解した。
クラウンと街への道との境目に、銃を構える猟師たちの姿があった。
セドナも何度か会ったことのある狩猟頭が鬼のような形相でこちらを睨んで何か叫んでいるようだが、牡鹿がきる風の音で半分も聞き取れない。
大方、ここから先は通さないといったことを怒鳴っているのだろう。
ニコは小鹿を造るときに余った鉄屑で何かを造り始め、前を見据えながら言う。
「少し高く跳びますよ、しっかり掴まっていてください。
あと、足はできるだけ引っ込めてくださいよ」
「分かった」
ニコの考えていることが分かったセドナは、ティファニーを両足と片腕で抱きこみ、ニコの身体に回した右腕に力を込める。
ティファニーは驚いた小さな声を上げそうになって、慌てて口をふさいだ。