極彩色のクオーレ
10丁の猟銃が一斉に火を吹く。
ニコは今しがた造った傘状の盾を開き、それで牡鹿の身体ごと銃弾を防いだ。
銃声の源に近づいていったところでレバーを引っ張り、牡鹿に猟師たちの頭上ぎりぎりのところを跳ばせる。
猟師たちはぶつかるまいと慌てて蜘蛛の子を散らすように逃げる。
「ひええっ!」
彼らの頭上を通る瞬間、そんな情けない悲鳴が聞こえた。
しばらく牡鹿を走らせてからニコは盾をたたみ、後ろを確認する。
猟師の何人かは頭を抱えた状態でこちらを見ていて、我に返った狩猟頭にどやされて慌てて追いかけようと動き出していた。
セドナがニコの服をくいっと引っ張る。
「ニコ、とにかく中心街へ逃げるぞ。
あそこなら人も集まるだろうし、街中で銃をぶっぱなすほどあいつらも危険なことはしないだろうしさ」
「分かりました」
すぐに前を向き直して、ニコは街へと続く丘を駆け降りた。
途中に点々といた街の住人たちが、風のように駆けていくブリキの牡鹿に驚き釘付けになる。
(あの様子だと、ここの連中は何も知らないみたいだな。
セイクリッドは街の人間全員に吹き込んだわけじゃねえのか……)
セドナは横目で彼らの反応を見てそう判断する。