極彩色のクオーレ
だが口達者な彼のことだ、あっという間に洗脳してしまうに決まっている。
それよりも早くティファニーを街民たちが集いやすい場所へ連れて行かなければならない。
セイクリッドに追いつかれたら、彼女はもうこの街で生きていくことは叶わない。
(ケセラ、ギベオン、お前らの足止めにかかってるんだからな、頼むぞ……!)
牡鹿はやがて建物が密集する中へと入っていった。
再び現れたそれに、通行人たちは真っ青になって道を譲る。
セドナはその中に全く異なる種類の形相になっている者がいるような気がしたが、視認できたのは瞬きほどの時間だけで、注意深く確認することはできなかった。
「ニコ!セドナ!」
するとどこからかリビアの凛とした声と、レンガ造りの道に力一杯転がる激しい轍の音が聞こえてきた。
そして牡鹿の隣に目を惹くピンク色の馬車が現れた。
御者はもちろんレムリアンである。
その馬車の小窓からリビアが顔を出していた。
隙間から中の様子が見えて、セドナはタンザとハックも載っていることに気づいた。
「ティファニーは無事ですよ、助けに行かせてくれてありがとうございました」
「あたしたちは何もやってないわ、あんたが行きたくて行っただけでしょ。
そっちのヘタレおばかは後押ししてやったけど。
それよりティファニー、大丈夫!?
どっかケガさせられた!?意識ははっきりしてる!?」