極彩色のクオーレ
リビアを押しのけて窓から半身乗り出す。
「だったら高台だ、あそこがいい!
あそこ、前に街長演説をしたときとか大臣選挙演説のときとかに使われてたぜ……っおおっ!?」
鈍い光をギラリと放つ何かがハックの鼻先をかすめた。
それは鉈を持った猫のぬいぐるみだ。
手板を握り締めるリビアの顔は、怒りの微笑みで引き攣っている。
「ハック、あたしの馬車の中であたしを突き飛ばすなんていい度胸してるわね。
ほら、こぶができちゃったじゃない、女の子に怪我させるなんてサイッテー、どうしてくれんのよ!?
そんなにここから捨てられたい!?」
リビアに胸ぐらを掴まれ、その肩に降りた猫のぬいぐるみが鉈を構える。
ぎりぎりまで顔をそらしてハックは謝罪した。
タンザがこの状況を、火の粉が掛からないよう身を引きざまあみろという表情で眺めているのは言うまでもない。
「わわっ、悪かったって!つい焦っちまっただけで悪気なんてこれっぽっちも」
「そうか?その割にはここぞとばかりって顔で突き飛ばしてたぜ?」
面白そうに茶化すタンザに向かってハックが片脚を振り上げる。
だがそれはあっさりとかわされてしまい、腐れ縁を睨みつけて舌打ちした。