極彩色のクオーレ
話に集中していたニコとレムリアンが素早く前を向く。
やや遅れて反応したセドナは、進行方向に小さな人影があることに気付いた。
まだ歩くのに慣れていない、1、2歳くらいの子どもだった。
タンザが奇妙な声をあげ、ハックが反対側の小窓から身を乗り出して叫ぶ。
「い゛ぃっ!!?」
「危ねえ、避けろぉーっ!」
だが相手は物心もつかぬ子どもだ。
ハックの警告の意味が伝わるはずもなく、猛然と迫ってくる馬車と牡鹿をぽかんと見ている。
「おっ、おいニコ、何とかしろ!」
「はい」
真っ青になって焦るセドナに冷静に返事をして、ニコは牡鹿を高く飛躍させて子どもとの激突を回避した。
だが、同じように避ける能力が馬車にはなかった。
「やべえ、ぶつかるぞ!」
「レムリアン!」
「分かっテイル!」
レムリアンが手綱を操り、馬車の方向を無理やり変える。
馬の脚や轍に血を吸わせる事態は免れたが、スピードの出たものはそう簡単には操れない。
「クッ!」
もう一度手綱を引っ張ったが間に合わず、馬車は赤土造りの高い建物に激突した。
派手な音が通路に反響する。