極彩色のクオーレ
「いやあああっ!ば、化け物!」
冷たく鋭い悲鳴が女性の口から迸る。
セドナがとっさに抱え込むようにティファニーの耳を塞いだが、その甲高い悲鳴は彼女の鼓膜に届いてしまった。
自分の腕の中で何かが壊れる音を、セドナは微かに聞き取った。
ティファニーを強く抱きしめて歯を食いしばり、馬車に向かって怒鳴る。
「おい、リビア!タンザ!
誰でもいいから返事しろよ、バカ!」
ニコは土煙の中で動く影を見つけたが、その向こう側、緩やかな曲がり角の端に誰かが現れたのに気付いた。
その人はきょろきょろ辺りを見回し、ニコたちに気付いて指さす。
「いたぞ、あそこだ!」
それは街とクラウンとの出入り口で待ち伏せしていた猟師のうちの一人だった。
反対の手で自分が出てきた道に合図をしたから、他に仲間がいるのだろう。
「ちっ、この忙しいときに……!」
「セドナ!」
セドナが苛立たしげに舌打ちしたとき、薄れる 土煙の中からリビアの凛とした声が聞こえた。
目を凝らしてみると、リビアは壊れた馬車の椅子の部分と天井部分の下敷きになっているタンザの腕を引っ張っていた。
レムリアンとハックは、てこの原理を使い協力してタンザのにのしかかっているものを引き上げようとしている。