極彩色のクオーレ
造った装置をレムリアンに投げ渡し、ニコは牡鹿の手綱を握り直した。
「悪い、お前ら!」
「気にすんな!」
「早く行ってってば!」
ハックとリビアの言葉に押されるように牡鹿が走り出す。
自分を支えてくれているセドナの腕の中で、ティファニーは両手で顔を覆ってか細く震えていた。
「ティファニー?」
「…ごめんなさい……ごめ、なさい……私のせいで、こんな……」
「違う!ティファニーのせいじゃねえから!
あいつらは大丈夫だから、お前は街の奴らに言う事を整理しとけ。
おらニコ、まだ着かねえのかよ!?」
「無茶言わないでください、高台までどれだけあると思ってるんですか」
やはりニコはこんな時でも冷静さを欠いていない。
レバーをもう一度引っ張り、牡鹿の地面を蹴る力を強めた。
徐々に後方から聞こえてくる追っ手の声が膨らんできている。
セドナは振り向いて確認してみると、その人数は先ほどの倍以上になっていた。
街中の力自慢や武術を心得た者たちが集っているようである。
「くっそ、ここまで根回ししてたのかよセイクリッドの野郎!
外見が白い分、腹の中はどす黒いんだろうな……」
「セドナ、人間の腹腔の色は血液ですから」
「そういうことを言ってるんじゃねえよ!」