極彩色のクオーレ






――殺してやろうか。



誰のものか分からない囁き声がニコの鼓膜を震わせ、6つの暗い感情をざわつかせた。


それは戦場で覚えた心たちだった。


いつなのかはあいまいだけれど、覚えたごとの記憶は瞬間的に残っている。


それが断片的に蘇ってくる。


あのときはその瞬間に流れ込んできた言葉を理解する頭脳を持っていなかったが、今のニコにはそれがあった。


声が聞こえる。



憎イ、憎イ。


ドウシテコンナ目ニ遭ワナケレバ。


ナゼアイツガ死ナネバナラナイ。


仇ハ必ズトル。


モウ殺スノハタクサンダ。


逃ゲ出シタイ。


死ニタクナイ、死ニタクナイ。


殺サレテタマルモノカ。


殺シテヤル。


殺シテヤル。


殺シテヤル。




どす黒く塗りつぶされた氷のような音が、ニコの心を呑み込もうと溶け合い渦巻き出す。


戦場では、敵対国の者というだけで壊されそうになった。


洗脳から逃れシャロアに出会うまで森をさまよっていたときは、その醜く不気味な容姿だけで化け物扱いを受けた。


戦場から離れても、人間の負の感情はあらゆるところに蔓延している。


どんな人間の心にも巣食っている。


ニコが逃れたいと望んでも決して逃がしてはくれないのだ。


息をついたところですぐ傍でニコを嘲笑っていた。


無様に逃げろ、無駄に足掻けと。


それならばいっそ、受け入れてしまおうか。


多くの人間を殺してきた中で、自分の心に芽生えたこの黒々とした感情たちを。


ニコの視界に、黒い靄のようなものが現れた。


同時に暗い感情がどんどん膨れていく。


壊してしまえばいい。


自分たちを信じない連中など、みんな排除してシマエバイイ。


主人ヲ守ルタメダッタラドンナコトダッテデキル。




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