極彩色のクオーレ
「ニコ!!」
ティファニーは自分が与えた名前を叫び、その背中に抱き着いた。
ここに居るのは、ニコであって、ニコでない見知らぬゴーレムのような気がした。
ニコがどこかへ消えてしまう気がして怖くなったのだ。
(だめ、ニコ、戻ってきて……)
「ニコ、返事をして、ニコ、ニコ!」
ただならぬものを感じ取ったティファニーは、瞳に涙をいっぱいためながら名前を叫び続ける。
刹那、闇に支配されつつあったニコの視界に一条の青い光が差しこんだ。
戦場での記憶や声が急速に遠のき、代わりに他の記憶がすうっと近づいてくる。
それは同様にニコの隅々にまで刻まれた優しい記憶たちだった。
雑兵ゴーレムのときは、人間は嫌なものを生み出すだけの存在だと信じて疑わなかった。
けれども人型に造り変えられてシャロアと出会い、悪いものばかりでないことを目の当たりにした。
シャロアがいなくなり彼を探す旅の途中で寄った街や村、他の旅人と会った道中で、人々の関わりを目にした。
戦場にない暖かさや安らぎがそこにはあるのだと理解した。