極彩色のクオーレ
ニコも立ち止まり、目の前の状況を観察しながら説明した。
その冷静さに、ティファニーは一瞬唖然とする。
「ええっ!?は、早く助けてあげないと……」
ティファニーが地面を杖で探りながら、その街路樹に近づく。
少年はもがくのを止めて、こちらへ来る少女を見つめた。
ニコも寄りながら木を観察する。
子どもが座っても折れなそうな、太い枝をもつ街路樹だ。
そのうちの1本が、根元に無理やり向かされている。
よく見ると中ほどのところに縄がくくりつけられ、反対側は枯れ草に覆われていた。
縄はぴんと張っている。
ティファニーの杖が、その根元を突いた。
瞬間、枯れ草が跳ねとび、しなだれていた枝が勢いよく元に戻る。
反動で片端が輪になっている縄が宙高く舞った。
音に驚いてティファニーが尻餅をつき、少年は悲鳴をあげて顔を覆う。
「大丈夫ですか」
「う、うん……びっくりした、もしかして今のが罠?」
「そうですね、失敗に終わりましたが」