極彩色のクオーレ
ルーアンの声を背中で聞きながら、ヒーラーは荷車にゴミ袋をのせて裏口から外に出た。
裏通りにある大型のダストボックスに、いら立ちをぶつけるように投げこんでいく。
「んもうっ!なによなによ、セドナばっかりいい気になっちゃって。
ワタシだって、あのくらいの飾り作れるわよ。
下っ端の仕事なんて、いちばん年下のセドナがやるべきなのに。
先生、この半年ワタシに対してほんっっっとに冷たすぎるわ!
ワタシに面倒な細かい作業ばぁーっかり押し付けて、なによこれイジメなの?
いい加減ワタシにも依頼を持たせてくれたっていいじゃないの!」
半田くずのゴミをダストボックスに流し、ヒーラーは空になった荷車に袋を投げつけた。
いら立ちを発散する対象がなくなり、急速に頭が冷えていく。
ヒーラーは地面を見て、その時に自分のこぎれいな軍手が視界に入った。
ここのところ複雑な作業が少なく、以前のように毎日真っ黒になることがなくなっている。
逆に仕事を回していなかったセドナの軍手は、作業を重ねるごとに汚れがたまっていた。
何だか自分が、セドナに置いて行かれているようである。
どこでこの差が生まれてしまったのか。
「ワタシに足りないところって、何なのかしら……」