極彩色のクオーレ
「……はっきりした理由なんかないけどよ。
お前にとびかかるロアを見たとき、俺、お前が死ぬんじゃないのかって思った。
ロアじゃない獣だけど、そいつに仲間を目の前で喰われたことがあってさ……お前が村を出たすぐ後のことだ。
それと重なって、一気に悪寒が走って、気が付いたら飛び込んでたって感じだ」
ハックはまた頭をかいた。
じろ、とタンザを見てから、すぐに逸らして呟く。
「……お前には、まだ死なれちゃ困るんだよ」
「は?」
「まだ俺、お前を凹ませられてねえもん」
再びタンザに殴られる気がして、ハックは枕を盾代わりにした。
拳が飛んでこないよう間を詰めるため、急いで考えを巡らして言葉にする。
「こんなこと、二度と思うこともねえし言うつもりもねえけど……」
「なんだよ」
「俺、タンザに憧れてるところがある」
口に出してから、ハックは少し後悔した。
いや、少しなんてものではない、かなり後悔している。
とんでもなく恥ずかしい言葉を選んでしまった。
枕の陰からこっそり様子を伺ってみると、タンザは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。