私の意地悪な旦那様


「いくら先輩でも、これは俺のだからダメ」


鋭い眼力に、サークルの先輩たちも「…おう」と言って退いていく。


その言葉を何度も何度も頭の中で繰り返しながら、さっき詩織さんに言われた言葉を思い出した。







織部君、あなたが飛び出して行ったって知った瞬間慌てて追いかけていったのよ。あんな必死な織部君、初めて見た。


それにね、その薬指の傷……まるで指輪みたいね






おずおずと顔を見上げれば「何?」とぶっきらぼうに聞いてくる先輩。

「何でもない!」と笑って答えると、机に並んでいる朝ご飯へと手を伸ばした。



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