私の意地悪な旦那様
「……莉乃」
「何?どうしたの?気持ち悪い?」
回された手を掴みながら頭だけ後ろへと向ける。
「好き」
距離はたったの数センチ程しかなくて。
今までで数回しか聞いたことのない言葉を言ったかと思えば、まるで子供のようにへにゃりと笑った。
「好き。莉乃、大好き」
ぶわっと赤面する私の頬に甘えるかのようにすり寄ってくる。
何度も何度も好き好きと連呼するその姿に、きっと私は今日一生分の功希からの「好き」を聞くんだなぁ。
そんなことを思わずにはいられなくて、降り続ける「好き」の言葉を何度も頭の中で反芻した。