私の意地悪な旦那様
いったい誰が来たのか。と一斉に皆振り向く。
そして、その姿を目にした瞬間、状況を把握した俺は慌てて右手を引っ込めた。
「えーっと、ごめん。名前教えて貰ってもいいかな?」
幹事がはっとして近寄ると声をかける。
けれどもそれを無視したその人は俺の方へと真っ直ぐに近付いてきた。
「ねぇ」
「は、はい!」
「武井がいるのに、なんで莉乃が酔いつぶれてるの?」
「…す、すみません!ちょっと目を離してた隙に……」
「………まぁ、役目は果たしてたみたいだし、いいよ」
そう言って、織部さんはギロリと鋭い眼光で莉乃に言い寄っていたやつを睨んだ。