私の意地悪な旦那様
「1人じゃ配分量なんて分かんないだろうから、どーせ行くなら、莉乃のペース知ってる武井がいるときだけにしといて」
同時に渡された薬と水を、お礼を言って受け取る。
私が頭痛いって分かってて、当たり前のようにこうやって薬をくれる功希って、ほんとにすごい。
「わかった」
そう言って、貰った薬を飲んだ私を見た後、功希は車を動かし始める。
シートから伝わる心地よい振動と、襲ってくる睡魔に耐えられなくなった私は、再び眠りについた。
だから信号で止まった功希が私の方を見ながら
「それだけが理由じゃないんだけどね」
だなんて意味深なことを言ってたことなんて、さっぱり気付かなかったのだ。