神の手のひらで
「こいつの格好、なんだか変だぞ」



叫ぶように聞こえた声で自分を見下ろす。


ーー別に、特別でも何でも無い普通の制服だ。


変なところなんか何処にも無い。



「そう言われれば・・・」



訝しげな視線に気づき、更に不審度が増した気がした。


ここにいたら本当に殺されかねない・・・!


冷静さより恐怖が勝って愚かにも震える足に鞭打って逃げようとした。



「!動くなと言っただろう!」



逃げ出そうとした私に気づいた鎧の人が私の髪を引っ張って押さえつけた。


地面に押し付けられた痛みと頭皮に走る痛みでまた涙が浮かぶ。



「この女っ・・・!」



振り上げられた銀が目に映る。


それは真っ直ぐ私に向けられている。


嫌だ、死にたくないーー



「騒がしい」
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