10円玉、消えた
一晩経って風邪は殆ど治った。
竜太郎は通常通り学校へ行き、美術部の部活動もしっかりとこなす。
部活が終わると、竜太郎と薫はそれぞれ自転車を牽きながら、帰り道をゆっくりと時間をかけて歩いた。
これはいつもやっていることで、少しでも長く二人の時間がほしいからだ。
まず竜太郎から話しを切り出す。
「薫のカン、当たってたよ。昨日見ちまったんだ、お袋とカッちゃんがいちゃついてるとこ。最悪の気分だったぜ」
「やっぱりそうだったんだ。ショックだった?」
「もちろん。でもタカさんに打ち明けたら、だいぶショックが薄らいだよ」
「よかったね。タカさんてホントにいい人なんだね」
「でもそのタカさんも言ってたぜ。カッちゃんは悪巧みするような人じゃないって」
「なんだ、私の言ったことタカさんに話したんだ。やっぱり竜太郎も気になってたんでしょ。あんときは笑ってたくせに」
薫は少しふてくされた表情になった。
「そりゃ笑ったけど、あとで考えたら気になっちゃってさ。今度お袋に、店をどうする気かって聞いてみようと思ってんだ」
「譲る気だって言ったらどうすんの?」
「わからん」
いまはそれしか答えられない竜太郎であった。
竜太郎は通常通り学校へ行き、美術部の部活動もしっかりとこなす。
部活が終わると、竜太郎と薫はそれぞれ自転車を牽きながら、帰り道をゆっくりと時間をかけて歩いた。
これはいつもやっていることで、少しでも長く二人の時間がほしいからだ。
まず竜太郎から話しを切り出す。
「薫のカン、当たってたよ。昨日見ちまったんだ、お袋とカッちゃんがいちゃついてるとこ。最悪の気分だったぜ」
「やっぱりそうだったんだ。ショックだった?」
「もちろん。でもタカさんに打ち明けたら、だいぶショックが薄らいだよ」
「よかったね。タカさんてホントにいい人なんだね」
「でもそのタカさんも言ってたぜ。カッちゃんは悪巧みするような人じゃないって」
「なんだ、私の言ったことタカさんに話したんだ。やっぱり竜太郎も気になってたんでしょ。あんときは笑ってたくせに」
薫は少しふてくされた表情になった。
「そりゃ笑ったけど、あとで考えたら気になっちゃってさ。今度お袋に、店をどうする気かって聞いてみようと思ってんだ」
「譲る気だって言ったらどうすんの?」
「わからん」
いまはそれしか答えられない竜太郎であった。