10円玉、消えた
「てことは、そのときあの爺さん、タカさんにも10円玉占いをすすめたのかい?」
「ああ、“出た面に従えば成功する”てな」
「で、結果はどうだった?」
「俺はやらなかったよ。占いなんか興味ないからって断ったんだ。爺さん“それじゃあ仕方がない”て言って去ってったよ」
「なんで断ったんだい?あ、タカさんはもう自転車屋を継ぐって決めてたんだっけ?」
「いや、あんときゃまだ決めてなかった。結構悩んでた時期だったよ」
「あれ?タカさん、確か昔俺に“将来のことなんて悩まなかった”て言ってたよな」
「ハハハッ、よく覚えてるな。ありゃな、リュウちゃんを余り悩み込ませないようにって思って、とっさに嘘をついたのさ」
「そうだったのか」
竜太郎は苦笑する。
「とにかく俺は占いには全く興味がなかったし、結果知ったらヘンに意識するだろ。それが嫌だったんだ」
「もし占いやってたら何が出たかね」
「さあな。まあ自転車屋じゃないことは確かだ。いつまでもこんな寂れた店やってるくらいだからな、ハハハッ」
黒部の笑顔を見ていると、竜太郎は不思議と元気が湧いてくる。
昔もいまもそれは変わらない。
「ああ、“出た面に従えば成功する”てな」
「で、結果はどうだった?」
「俺はやらなかったよ。占いなんか興味ないからって断ったんだ。爺さん“それじゃあ仕方がない”て言って去ってったよ」
「なんで断ったんだい?あ、タカさんはもう自転車屋を継ぐって決めてたんだっけ?」
「いや、あんときゃまだ決めてなかった。結構悩んでた時期だったよ」
「あれ?タカさん、確か昔俺に“将来のことなんて悩まなかった”て言ってたよな」
「ハハハッ、よく覚えてるな。ありゃな、リュウちゃんを余り悩み込ませないようにって思って、とっさに嘘をついたのさ」
「そうだったのか」
竜太郎は苦笑する。
「とにかく俺は占いには全く興味がなかったし、結果知ったらヘンに意識するだろ。それが嫌だったんだ」
「もし占いやってたら何が出たかね」
「さあな。まあ自転車屋じゃないことは確かだ。いつまでもこんな寂れた店やってるくらいだからな、ハハハッ」
黒部の笑顔を見ていると、竜太郎は不思議と元気が湧いてくる。
昔もいまもそれは変わらない。