10円玉、消えた
ついに源太郎は痺れを切らし、ベンチから腰を上げる。
ブツブツと何かをボヤきながら、公園の脇に停めてあったバイクにまたがり、素早くその場から遠ざかっていった。
「ちぇっ、なんだ。つまんねえの」
竜太郎は小さく舌打ちし、トボトボと歩き出した。
源太郎が戻ると、待っていたのは当然幸子の大目玉である。
「いったいどこで油売ってたんだい!」
「へっ、どうせ客なんて来やしねえじゃねえか」
「あんたそれでも経営者かい。そんなにやる気がないなら、こんな店さっさと閉めちまいな!」
「ガタガタうるせえな、まったく」
「私ゃもう知らないよ!金輪際店なんか手伝わないからね!」
「ああ、勝手にしろ!」
幸子は源太郎にプイッと背を向け、二階の夫婦部屋へと駆け込んでいった。
丁度そのタイミングで、店の出入口の戸がカラカラと開く。
入って来たのは竜太郎だった。
そこに源太郎の姿しか見えないことから、何があったのか彼にはすぐ察しがついた。
二階に上がると、幸子のすすり泣く声が微かに耳に入る。
気丈な母親が泣いていることで、竜太郎は大変なショックを受けた。
こんな店、やっぱり継ぐべきじゃないのかも、と思った。
ブツブツと何かをボヤきながら、公園の脇に停めてあったバイクにまたがり、素早くその場から遠ざかっていった。
「ちぇっ、なんだ。つまんねえの」
竜太郎は小さく舌打ちし、トボトボと歩き出した。
源太郎が戻ると、待っていたのは当然幸子の大目玉である。
「いったいどこで油売ってたんだい!」
「へっ、どうせ客なんて来やしねえじゃねえか」
「あんたそれでも経営者かい。そんなにやる気がないなら、こんな店さっさと閉めちまいな!」
「ガタガタうるせえな、まったく」
「私ゃもう知らないよ!金輪際店なんか手伝わないからね!」
「ああ、勝手にしろ!」
幸子は源太郎にプイッと背を向け、二階の夫婦部屋へと駆け込んでいった。
丁度そのタイミングで、店の出入口の戸がカラカラと開く。
入って来たのは竜太郎だった。
そこに源太郎の姿しか見えないことから、何があったのか彼にはすぐ察しがついた。
二階に上がると、幸子のすすり泣く声が微かに耳に入る。
気丈な母親が泣いていることで、竜太郎は大変なショックを受けた。
こんな店、やっぱり継ぐべきじゃないのかも、と思った。