甘い唇は何を囁くか
そう、だったのかーと、自分でも不思議なほど簡単に受け入れることができた過去の真実よりー、シスカの心を狼狽えさせたのは、遼子のことだった。

「だから、あんたと遼子が2人で幸せになるなんてのはありえないわけ。残念だけど。」



遼子を愛するままに、身体を重ねれば…遼子はヴァンパイアの毒に冒される。

死なせたくなくて、牙をたてれば遼子は、仲間になる。

シスカを忘れてー。

シスカは青褪めて、ギリギリとこぶしを握りしめた。

宗眞は、それを横目にフッと鼻先を鳴らして言った。

「俺たちみたいな化け物が幸せになろうなんて考えが間違ってんだよ。」
< 123 / 280 >

この作品をシェア

pagetop