甘い唇は何を囁くか
これが運命でなくて、何と言うだろうか。

腕の中の遼子をしっかりと抱きしめて、シスカは激しく求めてくる遼子の唇に呼応した。

熱くなる身体・・・。

分かる、俺自身が激しく遼子を求めている。

遼子も―。

どうしようもない、この運命を・・・呪われたさだめを振り払うように―お互いの肉を欲している。

「は、は・・・。」

遼子はようやく、唇を離してそれから涙ぐんだ瞳で上気した眼をこちらに向けた。

ズキンと体が脈打つのが分かる。

遼子はくすりと微笑して言った。

「すごかった…?」

まるで挑むようなことを言う。

俺を試しているのだろうか―、どこまでガマンできるか・・・。

それは自信がない。

「ああ。」

そう答えて微笑んだ。

「・・・私が好きなのは・・・シスカだよ。」

「分かってる。俺もだ。」

「シスカだけ・・・シスカしか欲しくない。」

「・・・ああ。」

ああ、そういうことか。

シスカは遼子の魔物のような魅力に、その凄みに全てを悟った。

だから、歩き出した。

ここではだめだ。

こんなところで、遼子を―。

遼子はぎゅっとシスカに抱きついた。

「・・・分かってる。」

答えると、遼子は何も言わずに泣き出した。

それ以上、言葉は必要なかった。
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