甘い唇は何を囁くか
遼子が行ってしまった。

お互いに覚悟を決めて、そして見送ったはずなのに

今にも駆け出してしまいそうだ。

あの男は、きっとすぐそこにいるだろう。

自分なら、そうする。

部屋を出てきた遼子を

泣いている遼子を優しく介抱して

そして誘う・・・

ギリギリと歯を噛み拳を握って荒ぶる気持ちを押さえ込むよう心がけた。

殺す

きっと殺すだろう。

何の比喩でもなく、その身体を再生できないほど粉々にしてやる。

「・・・りょう・・・こ・・・。」

呟くと、体の熱が音を立てて沸騰するのを感じた。

欲しい。

その身体が、あんな愛撫だけでは足りない。

その甘い身体を喰らい尽くしたい。

それだけが、望みだ。



「誰だ、そこにいるのは。」


シスカはため息を零して問いかけた。

遼子との熱い行為の間から、その闇の中に気配を感じていた。

誰かいるのは分かっている。

邪魔さえしないなら、どうでも良かった。




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