甘い唇は何を囁くか
懐かしく、そして愛おしい

あの頃から、どこも変わっていない

美しいあなたが、そこにいる

私とは大違い・・・

「ひとつ・・・。アドバイスをと思って、ね。」

ゆっくりと言葉にする。

涙はすぐに皺の中に消えた。

あなたは歩みを止めて、私から少し距離をとって立ち止まった。

「アドバイス・・・?」

「ええ、あの子・・・あの人間の女を仲間に変えるんでしょう?」

シスカはハッと笑った。

「ヴァンパイアというのは地獄耳だな。」

「皮肉を言わないで。」

懐かしくて、胸が詰まりそう。

あなたが欲しくなる・・・。

「あの・・・若いヴァンパイアに連れて行かれるところを見たわ。」

シスカはぴくりと肩を揺らした。

哀しいほど冷たい殺気が溢れてくる。

そうね・・・。

「あの若い同胞のように、運命を遂げることのできなかったヴァンプは少なくないの。だから、あれの言うことは本当よ。」

まだ、疑いがあなたの中にあることは分かっている。

こうして、私があなたに言ったところで、あなたはまだ信じ切れていない。

「ねぇ。」

私は微笑んで、ベッドに腰掛けた。

今の今まで、ここで・・・あの女としていたことを見ていた。

私にも、あの美しい肉体があれば・・・。

あの若さがあれば・・・。

キリキリと、痛む胸を抑えてあなたを見上げた。
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