甘い唇は何を囁くか
何よ、こいつ・・・

何でこんなに手際がいいわけ・・・?

私は、ベッドに膝をついただけよ。

それも片方の膝。

それが、一瞬の間にベッドに仰向けに寝かされていた。

「・・・。」

何も言えないでいる間も宗眞は、その紅い目でじっと私を見下ろしてる。

うう・・・

どうしよう・・・

逃げ出したい・・・・

「・・・遼子。」

「え?」

宗眞がおまえとかあんたとかじゃなく、名前を言うから思わず問い返してしまった。

「・・・何?」

宗眞は、遼子の上に馬乗りになると、上着を脱ぎはじめた。

「・・・やっ!」

あ、そうか、やだじゃないわよね。

だって、これからするんだから―――。

けど、その身体。

シスカと同じ、しっかりと美しく鍛えられていて・・・思わず見惚れてしまう。

男の人の裸を見て「綺麗」って思ったこと、シスカ以外にはない。

「そんなじろじろ見られると、照れるんだけど。」

宗眞は、意地悪げに微笑を浮かべて囁いた。

「なっ、誰がじろじろ見たのよ!」

いや、じろじろ見てましたよ。。。

確かに・・・。

ああ~もうっ調子が狂う!!

「なぁ・・・。」

宗眞の顔が、ゆっくりと近付いてくる。

やばい―。

また、キス・・・。

ぐっと唇を結んで目も閉じた。





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