甘い唇は何を囁くか

「・・・何?」

遼子は怪訝そうに眉をしかめた。

(お前は、もう人間じゃないの。)

と、言ってやろうかと思ったが、やめておいた。

どうせ、遅かれ早かれ気付くことだ。

遼子の手足

その身体

胸も尻も

知っているのは、シスカではなく自分だ。

そして、今、遼子は自分のことを憎むでもなく恐れるでもなく、どちらかといえば不審がりながらも魅せられている。

この先、その気持ちは変わるだろうが、今はシスカよりも優位であることが嬉しかった。

「さぁて、おっさん。」

そう言うと、シスカが貫くような視線をこちらへ流してきた。

くっくと喉を鳴らして笑って言う。

「臨戦態勢のところ申し訳ないけど、遼子に関しては今んところ、同位置・・・いや、俺の方がちょっと前か、ま、そういうところお忘れなく。」

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