甘い唇は何を囁くか
「遼子…」

熱い身体を抱き寄せて、シスカは甘くその名を囁いた。

遼子の中に、自分の記憶がなくとも

こうして求めてくれるー、それだけで

もういい。。

まだ馴染まない牙を、たどたどしく

忙しなく首筋に突き立てられるー

それさえも、愛しくてならない

「シ…スカ…」

かつて感じたこともあったかもしれない

愛しい者の涙

愛しい者の囁き

ほとばしる汗

喘ぎ声

愛しいーーー

愛しいーーーーーー

たまらない恍惚の中に浸りながら、

シスカは涙ぐんで、遼子の白い首筋に

はじめて

ー牙をたてたー
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