甘い唇は何を囁くか
宗眞は、呆然と目の前の人を見つめた。

人間の女ならばもう中年の年代だ。

黒い髪は、綺麗に巻き上げ頬えむ瞳は、娘と同じ真紅の薔薇を彷彿させる。

まさかー

宗眞の顔を見やり、女は口を開いた。

「やだ…もしかして、宗眞…?」

その声に疑問は確信に変わった。

「へ、…り、遼子…????」

遼子…!?

にこりと品の良い微笑みを返して振り返る。

「シスカ!」



宗眞は、遼子の振り返った方向へ視線を流した。
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