甘い唇は何を囁くか
どうしてあんな夢を見たのかーなんて、問いかける必要はない。

目を覚ました後、冷たい水で顔を洗って、鏡に映る自分を見て思った。

あの、「近づくな危険」の立て札が立てかけられているような男の人に恋をしたーのかもしれない。

ふるふると頭を振って、顔を拭う。

大丈夫。

まだ大丈夫。

本気で好きになる前に、まだ彼から距離をとれる。

もう、二度と逢うこともないかもしれないのだし…。

服を着て、髪をといて、今日はどこに行こうかー。

朝食は近くのカフェで済ませて…。

忘れようー。

あの人は危険。

分かってる。。

(もう逃げられない)

「…分かってるってば!」

あの人の声、あの人の瞳、危ない香りがぷんぷんする立ち姿ー名前は何て言うんだろうーー。
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