甘い唇は何を囁くか
何て言ったの…?

遼子は呆然と、立ち尽くしこちらを向かずに俯いたままのシスカの姿を見つめた。

私、何かいけないことした・・・?

私なんかじゃ・・・駄目なの・・・?

ううん、そんなことないはず。

シスカも、シスカ自身も、私の目から見ても明らかくらいに・・・感じてる。

私を求めてる、それが分かるもの。

「どうして・・・。」

だって、どうして・・・?

体が熱い。

さっきまでの愛撫だけじゃ足りないの・・・。

恥ずかしさに身が焦げ付きそうだけれど、はっきりと分かる。

欲しい―。

もっと欲しい・・・。

シスカは、ふるふると首を振ってようやく顔を上げた。

「シスカ・・・。」

どうしたというのだろう・・。

その目は悲哀に満ちて、苦しい事を堪えるように眉がひそめられている。

何を・・・?

何を我慢しているの、何を堪えているの・・・?

乱れた服を引き寄せて、遼子は身体を起こし、シスカの方へと身を乗り出した。

すると、シスカは一歩退き、言った。

「来るな。」

遼子は困惑した。

あれほどの甘やかな時間を過ごした後だというのに、はっきりとした拒絶に身が強張る。
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