鈴芽 ~幸せのカタチ~
『イチロー!ねぇってば!』

イチローは帰ってきてからずっとぼぉーっとしている。

呼んでも返事がない。

心ここにあらずって感じで、私はなんだか不安を感じていた。

この時イチローは、今日の聡子との会話を繰り返し思い出していた。

『考えてみて。』

そう言われたあと、
イチローは正直に言った。

『ごめん。実は今付き合ってる人がいるんだ。
二人のことは大切だけど、その子も大切に思ってる。』

必死に謝った。

『知ってるわ。
理名が言ってたもの。
お父さんの家に女の人がいたって。
だから言ったでしょ。
考えてみてって。
返事は待つから。』

それも予想外の答えだった。
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