よりみち喫茶
「ポットはね、お湯を入れて先に温めておくのよ。それから、茶葉を入れる。人数分プラス、ティースプーンで一杯ね」
ほわっと湯気の立つカップに、スプーンで茶葉を入れる行程を、はるくんは真剣な眼差しで見つめる。
今日のブレンドは、アッサムにレモンフレーバーと刻んだ生姜をたっぷりと加えてあるから、香りがとても爽やかだ。
更に、隠し味に加えたオレンジピールが、そこに微かな甘さをプラスしている。
「そして次はお湯ね。酸素が入るように、少し上の方から注ぐの。そうすると、ポットの中で上下運動が起こって、茶葉が開くのよ。ジャンピングって言うんだけどね、紅茶の風味を引き出すために、すごく大切なことだから」
聞きなれない単語に困惑したのか、はるくんが不安そうな表情でこちらに視線を移す。
それを受け止めてニッコリ笑ってみせると、あえておどけたように明るく「じゃーん!」と効果音をつけて、次の行程で使う道具を取り出した。
「こちらは、ティーコジーと言って、ポットを覆って保温するときに使うカバーです」
白地に鮮やかな花柄のついた布製カバーでポットを覆うと、その横に砂時計を逆さまにして置く。