よりみち喫茶
「お待たせしました。こちら、特別ブレンドになります」
カウンター越しにニッコリ微笑んで、一度ポットの蓋を開けて中を確認すると、今日の出来に満足しつつ蓋を閉じてポットを軽く揺らす。
ふわりと立ち上った湯気と共に、鼻腔を通り抜けていくレモンと生姜の香り。
カップを引き寄せて中身を注いでいると、「あの……」と遠慮がちな声が聞こえた。
顔を上げると、目があったその人はまた遠慮がちに言葉を続ける。
「コーヒーじゃ、ないんですか……?」
そのおずおずとした問いかけに、ハッとする。
「すみません、説明不足でした!えっと……もしかして、紅茶はお嫌いですか?」
喫茶店でブレンドとくれば、何の疑いもなくコーヒーだと思う人がいてもおかしくはない。
ドキドキしながら問い返すと、その人もハッとしたような表情で慌てて首を左右に振った。
「いえ、そういうわけでは!ただ、てっきりコーヒーだとばかり思っていたので……ビックリして」
ブンブンと首を振るその姿が、カーテンの向こうでうずくまっているはるくんと重なって、思わずクスリと笑みが溢れる。
その人は、今度は不思議そうな顔で首を傾げた。