甘い恋飯は残業後に


「先輩、別に短小じゃないじゃないすかー」

「もしかして、逆に自慢かぁ?」

笑いの中に交じる下品な言葉を意識の端に聞きながら、わたしはもやもやと黒いものが湧き上がるのを感じていた。


捻りつぶすどころかこっちは全く経験がないんだから、あんたのがどうかなんてわからないし、わかりたくもないよ!

言いたい言葉を、心の中で思いきり叫ぶ。実際に言えたらスカッとするんだろうけど、そんなの、自分の恥をさらすだけだ。


「原田先輩、そういうのは初対面の女性に言うことじゃないでしょう」

笑い声がおさまった辺りで、男性の真っ直ぐな声が聞こえた。

――わたしの、よく知っている声。


「会社でそんなことを言ったら、セクハラだって訴えられるレベルですよ」

「何だよ難波ぁ! マヤちゃんが美人だからって、俺をダシにして点数稼ごうとしてるのかぁ?」

原田先輩を見ると、かろうじて口許は笑っているが目は全く笑っていない。


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