甘い恋飯は残業後に


「俺は何を聞いても、ちょっとやそっとのことじゃ動じない」

混乱していた頭を、強気の断言が貫いた。

「無理には聞かないとは言ったが、この際、吐き出してみたらどうだ。その様子じゃ、どうせ今まで誰にも話せずに、ずっと自分の中にしまいこんできたんだろ?」


荒れ果てた大地に水がしんと滲みていくように、荒んだ心に難波さんの言葉が滲みていく。心に滲み渡って溢れた水は、また瞳から零れ落ちた。

本当は――ずっと、誰かに聞いてほしかったのかもしれない。

人を傷つけた苦しみを。前に進めない自分の不甲斐なさを。


「……さっき」

思い切って口を開いたものの、やっぱり躊躇してしまう。隣にいる難波さんを目で窺うと、彼は心配するな、とでも言うように微笑んで、小さく頷いた。


――大丈夫。この人なら、きっとちゃんと聞いてくれる。

わたしは一度息を吐き出してから、改めて口を開いた。


「……あの人が言ったことは、本当なんです。付き合っても……今まで怖くて先に進めなくて……」


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