甘い恋飯は残業後に


「……論外」

「どうして。外見の問題か?」

「外見は他から言わせれば、まあまあらしいよ」

ランチの時に、水上ちゃんがはしゃいでいたことを思い出す。

「じゃ、何が問題なんだよ」

「性格。わたしとはぜーったいに合わない」

あんな、横柄で自分勝手なジコチュー男と付き合ったら、振り回されて疲れるだけだ。


「万椰がそこまで人を嫌がるなんて珍しいな」

叔父さんは意味深な笑みを浮かべた。

「ちょっ……何、その顔」

「いや」

叔父さんはまだニヤリと笑みを浮かべている。
多分、わたしが小学生の時、嫌いと言っていた男の子のことが実は好きだった、ということを覚えているのだろう。

今回に限っては、絶対にそれはない。


「本当に嫌だからそう言っただけだから。変に勘ぐらないでよね!」

「はいはい」

叔父さんは適当な返事だけして、他のお客さんの対応に回ってしまった。

「まったくもう……」

これ以上ムキになっても、余計おかしなことになるだけだ。
わかってはいるけど、でもやっぱり反論し足りない。

わたしは少しおもしろくなくて、赤ワインをぞんざいに喉に流し入れた。




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