甘い恋飯は残業後に


「思いつきでわたしを連れ回すのは、もうやめてもらえませんか。難波さんが『Caro』に思い入れがあるのはわかりますけど」

「俺は思い入れだけで仕事はしていない」

語気を強めた声が耳に入った。

調子に乗って言い過ぎてしまったか、と、体が強張る。



「……だが、悪かった」

意外な言葉に驚いて、わたしは思わず難波さんの方を振り向いた。

まさか、素直に謝られるとは思ってもみなかった。

彼はこちらを向くことはなく、テーブルに視線を落としている。


「俺は、このままじゃ現場の声が聞こえなくなってしまうんじゃないかと焦っていたのかもしれない」

難波さんは一点を見つめながら続ける。


「以前、ファミリーレストランに出向していた時、モリヤの本部は事務的に売り上げのことばかり言うだけで、積極的にこちらの意向を汲み取ろうとはしなかった。『Caro』は絶対にそういう状況にはしまいと決めていたのに、現状はその頃とあまり変わっていない」

そう言って難波さんはグラスのワインを一気にあおった。


この人は――。


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