甘い恋飯は残業後に


「高柳さん、なんで俺にはこれを出してくれなかったんですか。俺だって常連なのに」

叔父さんは一瞬きょとんとした顔をしてから、安心したようにため息を吐き出した。


「宗司はいつも必ずラムチョップ頼むだろうが。食べるもん決まってる奴に出しても、と思ったんだよ」

確かに難波さんの目の前には、この店の看板メニューのラムチョップグリルが置かれている。

「こんなうまいもんがあったなんて、長く通ってるのに今まで知らずにいたとは……悔しい以外の何物でもないよ」

そう言って珍しく、本当に悔しそうだとわかる顔をしているから、わたしは思わず吹き出してしまった。


「……なんだよ」

「そんなにおいしかったんですか?」

「……ああ」

わたしが笑ったのが気に食わなかったのか、難波さんはふて腐れたような声を出した。


「叔父さん、難波さんにもモツ煮出してあげてよ」

「いや、いい」

「えっ!? どうして」

拒否された意味がわからず、驚いて難波さんの方を見れば、彼はこちらをじっと見つめていたものだからドキリとしてしまう。


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